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ペットロス症候群とは

ペットロス症候群とは、動物をペットとして飼っている方が、その動物を亡くした際に体験する、深い悲しみや喪失感のことを言います。時には、悲しみから立ち直れず、社会生活に支障をきたすほど落ち込んでしまう事もあります。欧米では1970年代半ばくらいから使われ始めた言葉で、イギリスの精神医学の雑誌に3例の症例報告として載せられたのが最初だと言わています。しかし、日本では最近やっとこの「ペットロス」という言葉が聞かれるようになりました。

ペットロスはごく自然な感情体験です。それまで一緒に生活してきたペットが亡くなるのですから、悲しみを感じるのは当然のことです。ペットに愛情をかけた分だけ、ペットと一緒に暮らした期間が長い分だけ、その悲しみは大きくなることでしょう。程度の差はありますが、それは基本的に親しい人を亡くしたときに経験する感情体験と同じなのです。

しかし、人が亡くなったときに比べ、ペットを亡くした場合、特殊なケースに発展する場合があると言われます。例えば、悲しみやストレスからの逃避として、アルコール依存症になってしまったり、アメリカでは薬物依存症に発展したりする場合もあるようです。それはペットの死に対して、事故死による「あの時、外に出るのを防いでいれば」とか、病死における「獣医に見せていれば」と、過度に自分を責めてしまい、精神的に参ってしまうからだとも言われます。また、治療を担当した獣医師の診療ミスを疑って、他を攻撃する事で心痛を紛らわすケースも見られ、特に民事訴訟が盛んなアメリカなどでは、このような「医療ミス」として訴訟に至る事例も少なくありません。

では、なぜこのような事例がペットロスに対して多く見られるのでしょうか。それは、周囲の無理解と体験を共有する機会の少なさにあると言われます。例えば、親族が亡くなった場合には、学校や会社を休むことが社会的に認められていますが、ペットの場合には認められていません。誰かとそのペットの思い出をじっくり語り合う事も少ないでしょう。心のこもった慰めや励ましを受けることも決して多くはありません。ましてや、「ペットがいなくなっただけだろう」とか「また新しいペットを飼えばいいじゃないか」といったような周囲の心ない言葉に、傷つく場合もあるかもしれません。

人が亡くなった場合には、お通夜やお葬式、初七日、49日法要と、たくさんの儀式を通して、深い悲しみを癒す機会を得ます。気がはりつめて、悲しんでいる暇がなかったとよく言いますが、しかし、遺族はこれらの儀式をこなしていくたびに悲しみを吐き出し、励ましを受け、故人の思い出を語ることで少しずつ心が癒されていくのです。

 

しかし、ペットを失っても、このよう儀式はありません。つまり、ペットロスは、孤独によって引き起こされるのです。誰ともそのペットへの想いを分かち合う事が出来ないために、悲しみから脱出することが出来なくなってしまうのです。